リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 「ネイティブがこう教えてくれたから」の落とし穴

<<   作成日時 : 2007/09/08 04:05   >>

トラックバック 5 / コメント 3

リンガ・エスプレッソのヤスロウです。

何か特定の英語のトピックに関して、日本人が自説の根拠として「知り合いのネイティブも聞いてもこう言うかから」、とよく言います。Mixiの英語関係のコミュをみてもこのような投稿が頻繁に見られます。

なんせ天下の英語ネイティブ・スピーカがそう言っている言うんだから、説得力は満点、と思いますよね。ところがギッチョン、そうとは限らないのです。

この記事ではなぜそうなのかについて述べてみようと思います。


まず、最初に忘れてはならないのは、英語のネイティブ・スピーカだからと言って英語がちゃんとわかっているわけではないということです。いや、決して荒唐無稽なことを言っているわけではなく、むしろ当然のことなのです。

日本で生まれ育てば、何かよほど特殊な事情がない限り日本語のネイティブ・スピーカです。しかし、そんなあなたの日本語の知識はどの程度しっかりしていますか?日本人であっても、育った環境、教育の程度、接する人たちの種類、などによって、比較的よくわかっているのは、同じ日本語でもごく限られた範囲だけなのです。

ここで特に強調したいのは教育です。アメリカに話を限ると、高校までの教育は全般的にはレベルが低いため、高卒程度の人の教養はかなり限られており、ちゃんとした英語のインファーマントとしては信頼できません。一方、修士号を持っているような人だと、私が観察した範囲ではさすがにかなり信頼できます。高卒と修士号との中間の、学士号を持っているような人ならある程度使えますが、これもケース・バイ・ケースで、唖然とするような誤解をしている人もいるので気が抜けません。

ただし、これはあくまで一般論で、フォーマルな教育を受けていなくても、独学でしっかりした教養を見につけた人ももちろんいます。また、ここでは「どこに出しても恥ずかしくないちゃんとした英語」についての話だということを前提にしています。そうではなく、例えば、「高校生が仲間内で使う口語英語」について情報を得たいのであれば、高校生に聞くのは理にかなっているでしょう。


さて、次に問題になるのは、日本人が英語で質問して英語の答えを理解する以上、その人の英語力や言語一般に関するセンス、あるいは一般的なインテリジェンスに、得られる情報の質が制限されるということです。

まず聞く相手のネイティブ・スピーカのインフォーマントとしての信頼性を判断できるには、その人自身にかなり高度な英語力があることが必要になります。もっとも、そういう信頼性の評価が必要だという意識があればまだましな方で、ネイティブ・スピーカを盲信している人は多いですね。

また、別に英語に限った話ではありませんが、人から正しい情報を引き出すためには正しい聞き方というのがあります。これはそれ単独で一つの技術だと言っていいでしょう。適切な質問をしなければ、たかだか不正確な答えしか返ってこないのは、当然のことです。インタビュワーのように職業的にそういった訓練をしている人を除くと、これができるかどうかは、やはりその人のインテリジェンスや言語一般に対する理解がきいてきます。また質問を言葉として表現する上では英語力が問題になります。


このように考えると、ネィティブ・スピーカに質問して正確な情報を引き出すためには、実にたくさんの落とし穴があることがおわかりいただけるでしょう。

ところで、最初に述べたネィティブ・スピーカのインフォーマントとしての信頼性の評価ですが、これはいろいろな点から総合的に判断します。ですが、一つのわかりやすい指標は、外国語を日常会話ができる程度までマスターした経験があるか、ということです。外国語を苦労して学んだ経験のある人は、外国語を学ぶ上でどういった点が重要なのか、ということを理解しているので、母国語の英語に関しての情報を提供してくれるときも、それを踏まえた上でしてくれます。


なお、この記事は「ネット上の情報の価値」に続く予定の記事の布石です。

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
アメリカのSNS事情と英語学習への利用
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。このブログを私のMixiのプロファイル経由でご覧になっている方も多いのではないかと思います。このMixiはソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Network Service, SNS)の一つに数えられます。今回はアメリカのSNS事情についてお話しましょう。また、それをどう英語学習に生かすことができるかについても触れます。 アメリカのSNSのシェアについて、私が探した範囲でもっとも新しいデータは、TechCrunchに掲載された記事にあ... ...続きを見る
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記
2007/11/22 00:08
誰かに英訳を頼むとき
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。ここのところここシアトルも冷え込んで、雪が降ってた、という話も聞きます。自分の目ではまだ確認していませんが。さて、今回はとかく長くなりがちの私の記事の中でも抜きん出て長い上に、少々抽象的な話が多く、わかりづらいかもしれません。がんばってついてきてください。もし抽象的な説明部分がわからなくても、最後の具体例のところで何が言いたかったかお分かりいただけると思うので。 このブログの読者の方は、英語を勉強されている人が大半だと思います。何かまとまった量の内容を... ...続きを見る
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記
2007/12/10 20:10
Mixiの英語関係コミュの惨状
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。 今回はもう随分前に書いた、「ネット上の情報の価値」の続きとして、Mixiの英語関係コミュニティー(以下、「コミュ」)の惨状について述べたいと思います。私が親しんでいるMixiを例に挙げていますが、大まかな傾向はWeb上によくある、他の同様の不特定多数による情報源にも当てはまるはずです。 こういったコミュの投稿にある情報は、私の感触だと大雑把には7割がよくて不正確、あるいは完全な誤り、残りうち2割が正しいがありきたりの情報、残りの1割が、真に価値があ... ...続きを見る
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記
2007/12/31 05:43
Mixiの英語関係コミュで投稿者の知的レベルからその投稿の質を推測
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。今回は「Mixiの英語関係コミュの惨状」に引き続いて、Mixiの英語関係コミュニティー(以下、「コミュ」)で、投稿記事がどの程度信頼できるのかを、投稿者の知的レベルから二次的に推測する方法をお届けします。Mixiのコミュを例に取ったのは、単に私が親しんでいるからで、特にインターネット上の不特定多数が参加するBBSの類には皆当てはまると思います。最初に断っておきますが、当然ながらこの手法でわかることは推測の域を出ません。しかし100%正確にはわからないとは... ...続きを見る
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記
2008/01/09 05:02
動画・音声・文字でチャットすることが有益か?1/2
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。この土曜日にわれわれの手による初のスカイプキャストを予定していることもあり、最近毎日のようにテストしています。その過程でスカイプキャストに参加しておられる日本人の方とお知り合いになることもあります。そういう方の一人に、こういう質問を受けました &mdash; 効果的な勉強方法は何ですか?、と。今までもここでの記事にも何度か強調してきたように、その答えはそれぞれの人の現状や目標に依存します。ただ、ほぼ間違いなく言えることがあります &mdash; スカイプ... ...続きを見る
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記
2008/02/06 13:10

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
うーん。思わずうなってしまうような話ですね。私は以前言語学の中でもSyntaxを研究していた時期があったのですが、再帰代名詞を含んだ例文をいくつか並べて、当時アルバイトをしていた英会話スクールのネイティブ何人かにそれぞれの文がOKかそうでないか聞いてみたところ、「全部いいんじゃない」という人もいれば「これはダメ。これはOK」と細かく分けてくれる人までさまざまでした。

また、テストなどで長文を作成する際にインターネットから適切な英文をもってこようとするのですが、私程度の英語力でも「これ違うんじゃないの?」と首を傾げたくなるような英文があります。

ちなみにある予備校の先生から聞いた話ですが、その先生の知り合いである表現を教える際に「この表現は正しい表現だ。このことはネイティブでも知らないぞ」と言った方がいたそうです。ネイティブ盲信も困り者ですが、本当に正しい表現でネイティブが知らないような表現を教えても仕方ないと思うんですけどね・・・?
ショーン
2007/09/08 08:07
再びの「ところがギッチョン」でいつもながらに考えさせられました。確かにネイティブ妄信は危険ですね、そのネイティブのレベル以前にも、こちらがキチンとした説明出来てない事は、むこうにも理解出来ないわけですし、正しい答えが返る筈もない。まして、あちらのレベルなど考えも及びませんでしたし・・最近のお話はどれも自分に当てはまっていて言葉もありませんでした。
でも反面、ショーンさんのおっしゃる「本当に正しい表現でネイティブが知らないような表現を教えても仕方ないと思うんですけどね・・・?」は同感です、「正しい」の定義はどこなんでしょう?正しいけど、通じないなんて、意味ないと思いますし、どの世界でも、上から見るだけでは分からない事ってあると思います。
yellow
2007/09/08 10:26
こういった記事の価値はなかなかわかってもらえないだろうと思っていたので、中身充実のコメントを頂戴できて大変うれしいです。どうもありがとうございます。

「このことはネイティブでも知らないぞ」と言い放てるというのは素敵ですね。まずそう言いきれることにある種の敬意を覚えます。

もちろんこれはYellowさんがご指摘のように、「正しい」をどう定義するか、という問題と切り離せませんね。

その先生がおっしゃっていた表現と同質かどうかは分かりませんが、確かに、正しいのによくネィティブに誤解されている表現は確かにあります。

これについては別の記事にします。書き上げたのですが、字数が多すぎると怒られてしまいましたので。
ヤスロウ
2007/09/08 17:51

コメントする help

ニックネーム
本 文