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リンガ・エスプレッソのヤスロウです。 ここのところここシアトルも冷え込んで、雪が降ってた、という話も聞きます。自分の目ではまだ確認していませんが。 さて、今回はとかく長くなりがちの私の記事の中でも抜きん出て長い上に、抽象的な話が多く、わかりづらいかもしれません。がんばってついてきてください。もし抽象的な説明部分がわからなくても、最後の具体例のところで何が言いたかったかお分かりいただけると思うので。 何かまとまった量の内容を英語で表現したいときに、どうやって表現していいのかわからず困ってしまったことはありませんか?例えば、仕事上英文でメールのやり取りをしなくてはならない方にそういうことがあるのではないかと思うのですがいかがでしょう? そんなときに、もし自分より英語に堪能な人に助けを求められるのなら、それは非常に助かりますよね。最近では直接そういう人の知り合いがいなくても、インターネット上のコミュニティ、例えばMixiの英語関係コミュニティなどで質問することも簡単にできるようになりました。(かといってそこにあげられる回答が必ずしも信頼できるものではないことについては、「ネット上の情報の価値」、「『ネイティブがこう教えてくれたから』の落とし穴 」で述べました。)この記事では、そのときどういうふうに聞くのがよいか、考えてみたいと思います。 なお、ここでは単語レベルではなく、文レベルでわからないのだとします。 私はそういう質問を受けることがときどきありますが、英語に限らず外国語全般に対する理解がまだ浅い人は、決まって同じような誤りを犯します。それは、自分がどう英語で表現してよいかわからない部分の日本語文だけを提示し、それを英訳するよう頼む、ということです。「『〜〜』って英語でどう言うの?」、というふうに。これのどこが問題なのかわかりますか? 日本語の表現と英語の表現は、一般には無条件で1対1に対応することはありません。ほぼ完全に対応しているような表現対があるにはありますが、それは極めて稀です。一般には、ある日本語表現と、ある英語表現がほぼ同じ意味になるとしても、それには特定の文脈を前提にしたときにという条件がつくのです。すなわち、そのような質問をするときには、自分が英語にできない部分だけではなく、全体の文脈もきちんと知らせる必要がある、ということです。 しかも、その部分以外の、自力で英語にできた(と思っている)部分も同時に見せるべきでしょう。さもないと、仮に質問された側が、文脈も考慮して適切な英文を用意したとしても、あなたが作った英文とかみ合わず、全体として意味をなさなくなってしまうことも容易に起こりえます。ここまで述べたようなことは、言語にある程度習熟した人なら誰でもはっきり意識しています。したがって、「『〜〜』って英語でどう言うの?」、というふうに初心者が無心に質問したとしても、わかっている人なら、文脈を聞きだそうとするか、文脈を仮定してそれを明確にした上で答えます。もし、そうせず単に英文だけを提示するような人がいれば、その人はわかってない可能性が高いのです。このことは、ネット上のQ&Aの場などで寄せられる回答の質を判別するのに利用できます。 さらに一歩踏み込んでみます。 この記事のタイトルに「英訳を頼む」という表現を使ったように、ここまでは、あらかじめ用意した日本文を英訳することについて話してきました。しかし、多くの場合、この日本文は絶対ではありません。つまり、伝えたいこと、がまず最初に存在し、今英文を作ってもらう人にその内容を伝えるための方便として日本語を用いただけであって、実際は日本語のレベルででも表現の自由度はずっとあることが多いのです。 話がややこしくなってきたのでもう一度整理すると、今ここで:
が問題になっています。これら二者はとかく同一視されがちです。A.を言葉で表現しようとしたとたんB.になってしまうわけですからやむをえないともいえます。しかし、これらは別もので、はっきり区別する必要があります。 注意すべきところは、A.の一つ(a1と呼びましょう)にたいして、B.は通常複数個存在する(例えば、b11, b12, b13, ...)ということです。平たく言うと、同じことを表現するのに表現方法は複数ある、ということです。 今ここで英文を最終的に得たいわけですが、欲しい英文は特定のA.(a1)を表現するものであって、特定のB.(b11)に相当するものではないはずです。ところが、日本文を提示してその英訳を求める、というやり方だと、特定のB.(b11)に相当する英文を求めてしまいます。特定のB.(b11)とは、特定のA.(a1)を表現する、B.の数ある可能性(b11, b12, b13, ...)のうちの一つに過ぎませんから、特定のB.(特定の日本文)に拘ってしまうと、最終的に出てくる英文の可能性が狭められてしまいます。 しがたって、本当に伝わる英文が欲しければ、日本語文を一つ伝えてその英訳を頼むのではなく、代わりに意図を伝えるように努力して、その意図を表現する英文を作るように頼むべきなのです。もちろん、テレパシーが使えない限り、結局日本語でコミュニケーションするしかないわけですから、意図も日本語で表現する限り、ある程度の制約は受けます。しかし、この意識を持っているかどうかは結果に大きな違いを生みます。 もちろん、問われた側も、こういうことがわかっていれば、日本語文一つを提示されても、それには拘らず、意図を探り出そうといろいろ質問してくるでしょう。 ちなみに、かつて、「『延期する』の英語訳が思い浮かばなかったら」という記事を書きました。この記事では、特定のB.(b11としましょう)から英文に到達できないときに、一旦それのA.に戻り(a1)、そこからb11とは異なるB.: b12, b13, ... をひっぱり出し、そのそれぞれから英文にできないかを試みる、というアプローチを述べているのです。(ちなみに、私が今までこのブログで書いた記事の中で、もっとも価値があると私自身が思っているのがこの記事です。その重要性はなかなか伝わらないのでしょうけど。) お、まだ読んでくださってるんですね。ここからお待ちかねの具体例です。 Mixiの言えそうで言えない英語。コミュの「学校に問い合わせ・・」というスレッドのトピック文が今回の記事の非常にわかりよい例になっています。Mixiにアカウントがない方のために、トピック文を以下に引用します:
私がこの投稿を非常に面白く思うのは、トピック主が、自分自身で解決の糸口を知っていて、かつそれを自分の投稿に明記しているのにも関わらず、ご本人にその認識が全くないことです。 まずこのトピック文の前半だけ読むと、トピック主がこの記事で主題にしている典型的過ちを犯していることがわかります。つまり、「10月締め切り分は、何月から入学ですか?」 という、ご本人が英語にできない文だけ取り出して、その訳を求めています。この文はいわば内容が凝縮された文で、これをそのままの形で英文に直すのは骨が折れます。そもそも、日本文としてきちんと意味をなすのかも私には自信がありません。 そういうときは、本当に表現したいことはなんなんだろうか、という観点から、まず日本語のレベルで平易に言い換えればよいのです。もしここまでの情報だけだと、難解すぎて言い替えもしようがなかったわけですが、幸いなことにトピック主ご自身が、読者に意図を説明してくれています:
これをそのまま英語にすればよいのです!このスレッドの#2の投稿でn@tさんが提示しておられる案は、実際これをそのまま英語にしたものです。私がもし答えたとしても、同じアプローチを取ったと思います。 「10月締め切り分は、何月から入学ですか?」 という不可解な日本文からは、意味の通る英文に到達できなかったトピ主さんも、もし上の日本語文からスタートしていれば、それなりに意味の通る英文に到達できた可能性は高いと思います。しかも特筆すべきことは、ご本人の頭の中でそういった言い換えは自然に起こっていたのです。「言い替え」というふうには認識してなかったかもしれませんが。欠けていたのは、日本語文に拘らず、意図から発想すればよい、という意識だけだったのです。 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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Mixiの英語関係コミュの惨状
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。 今回はもう随分前に書いた、「ネット上の情報の価値」の続きとして、Mixiの英語関係コミュニティー(以下、「コミュ」)の惨状について述べたいと思います。私が親しんでいるMixiを例に挙げていますが、大まかな傾向はWeb上によくある、他の同様の不特定多数による情報源にも当てはまるはずです。 こういったコミュの投稿にある情報は、私の感触だと大雑把には7割がよくて不正確、あるいは完全な誤り、残りうち2割が正しいがありきたりの情報、残りの1割が、真に価値があ... ...続きを見る |
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記 2007/12/31 05:43 |
Mixiの英語関係コミュで投稿者の知的レベルからその投稿の質を推測
リンガ・エスプレッソのヤスロウです。今回は「Mixiの英語関係コミュの惨状」に引き続いて、Mixiの英語関係コミュニティー(以下、「コミュ」)で、投稿記事がどの程度信頼できるのかを、投稿者の知的レベルから二次的に推測する方法をお届けします。Mixiのコミュを例に取ったのは、単に私が親しんでいるからで、特にインターネット上の不特定多数が参加するBBSの類には皆当てはまると思います。最初に断っておきますが、当然ながらこの手法でわかることは推測の域を出ません。しかし100%正確にはわからないとは... ...続きを見る |
リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記 2008/01/09 05:02 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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すっきり〜〜〜!! |
N 2007/12/10 23:09 |
おお、最後まで読んでいただいたのですね。今回は途中で、「何言っとんのかようわからん」と言って脱落する方が多いのではないかと恐れていたので、大変うれしいです。 |
ヤスロウ 2007/12/11 05:14 |
逆に英訳頼まれたら、どんな気持ちを言いたいのか、どういう意図でいいたいのか、聞いてから言葉を選ぶべきって事ですよね、納得! |
yellow 2007/12/12 08:48 |
そうですね。ただ、「べき」というよりも、自分自身が英文を生成するときも常日頃から同じように考えていれば、特に意識せずとも自然とそういうふうな反応をしてしまうのではないかと思いますよ。 |
ヤスロウ 2007/12/12 09:16 |
僕もヤスロウさんの意見に大賛成です。まったく同じことを、アメリカ人の友人に日本語訳についての質問をされた時にも感じました。どんな状況なのか(尊敬、丁寧、謙譲語の度合い等)や、この記事でおっしゃられてるようにその人が本当に言いたいこと/問題は何なのか、そこを理解するのが大切だと思いました。 |
こういち 2007/12/19 15:48 |
こういちさん、ようこそ。はじめてのコメントを歓迎します。これからも是非どしどしコメントをお寄せください。 |
ヤスロウ 2007/12/19 15:52 |
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