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リンガ・エスプレッソのヤスロウです。 我々は、TOEFL iBTのスピーキング対策も行っています。かつてこのブログでも、受験生の立場からTOEFL iBTのスピーキング対策に関してどういった難しさがあるかについて記事を書きました。今回は立場を換えて、教える側から見てどういった難しさがあるかについて述べたいと思います。 まず我々を悩ます最大の問題は、準備期間の短さです。 生徒さんにはそれぞれご自分で決めたスケジュールがあり、それのスケジュールの中で、我々に成果を上げるよう求めてこられます。このスケジュールは、生徒さんご自身がさまざまな要因を総合的に考慮しご判断になることであり、我々が口出しをすることではありませんので、我々としては一方的に受け入れるしかありません。ただし、往々にして、これがあまりに短いのが問題になります。三ヶ月あればいいほうなのです。これが毎日レッスンというのならまだしも、週1回では合計わずか10回強のレッスンにしかなりません。 今まで実際にあったケースとして、「あと2週間で20点向上」を要求されたことがあります。120点満点のテストで、です。どのようなご希望であれ、我々は結果をお約束することはありません。しかし、それでも、これはあまりに非現実的な期待だとして最初からお断りしました。これは極端な例ですが、最初からお断りするほどではないにしろ、「不可能ではないが容易ではない」と私が判断する線の要求を持っていらっしゃる方が大半です。まぁ、「容易に達成可能」であれば、我々の助けをお求めになることもないでしょうから、ある意味当然のことなのかもしれません。 TOEFL iBTが難関なのは誰もが認めるところだと思いますが、それと同時に、英語の能力試験として優れているともいえると思います。それはどういうことかというと、小手先の受験のテクニックがあまり通用せず、実力が比較的素直に得点に出る、ということです。余談ですが、これに比べるとTOEICは英語の能力試験としては全くあてになりません。そもそも、言語の四大技能のうちスピーキング、ライティングを直接計る問題が全くない上、全て選択式で解答が求められる設問なのでは、いたしかたない自然な結果でしょう。その意味で、TOEICの高得点をことさらに誇る人は私には非常に滑稽に見えます。 話がそれました。TOEFLに話を戻します。そうはいっても、TOEFLの設問形式が固定であらかじめわかっている以上、ある程度の受験のテクニックはありますし、それは当然身につける価値があります。例えば、スピーキング・セクションについては、答えのテンプレートの習得などがそれに含まれるでしょう。また、数をこなして場慣れすることも、決して軽視できない重要な対策事項です。 しかし、こういった対策で即効性があるのは、生徒さんに英語能力の基礎が既にある場合に限られます。そのような場合は、我々の経験上も、実際非常にうまく行きます。しかし、基礎がない場合は、効果は必然的に限られてきてしまいます。仮に、テンプレートを習得して、その点に関してはうまくスピーキング・セクションの問題に答えたとしても、その中であからさまな文法的誤りや発音の誤りをしていてはそれが減点の対象になるからです。それ以上の効果を望むのであれば、英語の基礎能力向上に真正面から取り組むしかなくなります。 例えば、文法知識・運用能力が不十分なのであれば、文法をきちんと総復習するしか本質的に有効な手立てはありません。しかも、これは付け焼き刃的なアプローチでは対処できません。当然ながら、かなりのまとまった時間をそれに割り振る必要があるでしょう。発音は文法より扱いやすいと思いますが、それでも一朝一夕には改善できません。やはりまとまった時間を練習に費やす必要があります。 我々としてはそういった必要性を認めたなら、それを率直に生徒さんにお話します。しかし、我々がお勧めする、時間はかかるが抜本的解決策ではなく、短期的効果だけを狙った場あたり的対策(英語で言うなら, "quick fix")を選ぶ方がどうしても多いのです。これは最初に述べた、ご自身で決められたスケジュールでともかく結果を出そうとなさるからでしょう。もちろん、我々は自分たちの意見を押し付けるようなことはしませんので、生徒さんのご希望を尊重します。Quick fixがお望みとあらば、それをご提供します。我々の仕事は、与えられた条件の中で最善を尽くすことだと考えているからです。しかし、そのため、講師も私も、もどかしい思いすることがあるのは正直なところです。 というのは、場当たり的対策では所詮効果が限れているのが最初からわかっているからです。一見遠回りに見えても、きちんと地道に基礎を築く方が、TOEFL受験のときのみならず、その後の留学時代にも、さらにその後英語を使う場合にも、格段に有意義だと我々には思えるからです。我々としてもそういったことをお教えするほうがやりがいがあるわけですが、残念ながら私の説得はたいがい失敗します。 今までに一例だけ例外があります。この方が我々のところにいらしたのは今年初めでした。アセスメントをしてみると、TOEFLにはまだ早いと判断せざるをえませんでした。「大変申し上げにくいことですが…」と、ご本人にそう伝え、TOEFL受験は一旦棚に上げて英語を基礎から勉強しなおすことをお勧めしました。 幸いなことに、この方は、「仮にTOEFLで得点できて留学できても、現地人ときちんとコミュニケートできないようでは意味がない」、とお考えの方で、私の意見を聞き入れてくださいました。それ以来週2回のレッスンをコンスタントにこなしていらっしゃいます。 この方は、Side by SideのBook 3から始められ、今はBook 4で勉強されています。Book 4は仮定法過去完了などを扱っており、文法的難度はかなり高いと言ってよいでしょう。担当講師によると、会話はもう不自由ない、というレベルに達しておられるそうです。レッスンを始められて、まだ8ヶ月強しか経っていないのに、です。 この方のケースが非常にうまくいったのは、もちろんご本人が聡明でかつ努力家でいらっしゃることはもちろんですが、基礎からやり直すことを厭わなかったからだと思います。変な癖がついていなかった分、最短距離で上達できたのでしょう。特に、Side by Sideで、とかく嫌がる人も多い文法ドリルをきっちりこなしてきたことで、しっかりした文法運用能力を築いてこられたことが大きいと思います。 この方はライティング・コースも受講され(感想もお寄せ下さいました)、TOEFL受験で必要になるエッセー・ライティングのスキルも獲得されました。もう今は英検なら準1級が取れるレベルに達しておられるのではないかと思います。 |
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