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zoom RSS 押し詰まってきた米大統領選

<<   作成日時 : 2008/10/23 04:08   >>

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リンガ・エスプレッソのヤスロウです。

こちらでは先週の10月15日に、最後の二大大統領候補者によるディベートが行われました。時間的に日本時間では10月16日だったはずです。そして11月4日の選挙日まであと2週間となりました。

メディアは全般的に民主党候補のオバマ氏優勢を伝えていますが、かといって当選確実と言えるような大きなリードがあるわけではなく、番狂わせ(upset)が起こる可能性は十分にあります。最後まで目が離せません。

二大政党の氏名を受けたオバマ氏とマケイン氏によるディベートは合計三度行われたわけですが、それ以外に副大統領候補者二名(民主党のバイデン氏、共和党のペーリン氏)によるディベートも一度行われました。さらにそれ以外に、民主党・共和党以外の、無所属の候補者によるディベートも行われることになっています。このことは日本ではあまり報道されてないと思いますが、実はアメリカでもほとんど知られていません。なぜなら、彼らが当選する可能性は事実上皆無と言ってよいからです。

ところが、メジャーな候補の足を引っ張ることはできます。今回もラルフ・ネーダー (Ralph Nadar)氏が出馬していますが、実は氏は、1996年から毎回大統領選があるごとに立候補しています。彼の支持者層は、民主党の支持者層と重なるため、彼が立候補することで票が民主党候補から流れてしまうことを批判する人がいます。2000年の大統領選で、大接戦の果てに共和党候補のブッシュ氏が民主党候補のゴア氏を破り、その後の8年間にわたる混乱期の礎を築いたわけですが、特にこの選挙について、「ネーダー氏が立候補していなければ…」とは誰もが考えるところでしょう。

ネーダー氏は元々消費者の権利を擁護する活動で有名になったいわば民衆の英雄でした。それが今は少なくとも一部の人たちにとって目の上のたんこぶ的存在になってしまったわけです。このことを惜しむ人も多いのではないかと思われます。


ディベートがあるたび感心させられたのが、一般人の関心の高さです。私のアパートは比較的大きな通りに面しており、2ブロックほど離れたところにいわゆるsports barがあります。これはバーはバーでも、大きなテレビが何台も設置されており、スポーツ観戦に興じながらビールなどを飲むことができるようになっています。このバーでも、ディベートが行われたときにはディベートを流しており、普段はスポーツ観戦に興じるような人たちが熱心に聞き入っていました。

そのバーの隣には、小さな洒落たワイン・バーがあります。ところが、ディベートが行われた日には、このワイン・バーに、立ち見客を含めて身動きも容易ではないほどいっぱいいっぱいに人が入っていました。これにはさすがに驚きました。客の間で雑談しているわけでもなく、皆黙々と集中して聞き入っているのですから、それが傍目にはどれほど異様だったかご想像ください。


この大統領選を振り返ってみると、それぞれの党での指名を受けた後、オバマ氏側が冷静な態度を崩さず、失態らしい失態を起こさないまま無難に無難に選挙活動(campaign)を進めて来たのに対し、マケイン氏の側は、いろいろ試してそれが裏目に出ているように私には思えます。

そもそもマケイン氏は、共和党のメイン・ストリームには属さない異端児で、民主党議員との超党的政策活動の実績もあり、 "maverick" (「一匹狼」)と呼ばれていました。彼が指名を受けた当初は、それがために共和党支持者でも特に保守的な人たちになかなか受け入れられないほどだったのです。

彼は元々メディアに開放的でした。彼の選挙バスはStraight Talk Expressと呼ばれているのですが("straight talk" = 「歯に衣着せぬ物言い」)、以前はそのバスにジャーナリストを招き入れ、気さくにざっくばらんに話をしていたそうです。それは彼のよさの一つだったはずです。

しかし、オバマ氏はメディアの寵児となり、マケイン氏についてはあまり報道されなくなります。これに業を煮やし、彼は態度を一変します。その結果、以前のような気さくさはなくなり、Straight Talk Expressバスにジャーナリストが招かれることもなくなりました。その一方、中傷広告(negative ads)を多数打つようになります。一言で言うと、旧態依然の選挙活動方法に回帰してしまった、ということです。個人的には私はこれを残念なことだと思っていますが、世論調査によるとこれで彼は多少勢力を盛り返しました。

ここで、自分のrunning mate、つまり副大統領候補としてSarah Palin氏を選びます。これは大きなギャンブルだったはずです。これは当初特に女性に大きく支持され、大正解だったように見えました。メディアにもめでたいことに大きく取り上げられました。

しかし、それまで全国的には全く知られていなかった彼女でしたが、インタビューやディベートを通じてその人となりが徐々に知られていくにつれ、彼女がその器であるかどうかは、皆が疑うところとなり、支持率は落ちていきます。

そこで金融危機が表面化します。これで大統領選の最大の焦点が景気に完全にシフトし、Palin氏を起用することで一時的に得た勢いは完全にすっ飛んでしまいます。しかも、彼の景気問題に対する対処のしかたが、erratic — 焦点が定まってないように一般の目には映り、これがさらに支持者離れを促したようです。

私は政治の専門家でもなんでもありませんが、マケイン氏が本来の自分を崩さないまま貫いた方がよかったのではないか、と思わずにおられません。景気が争点になる前は、抽象的ですが"change"が大統領選の大きな柱だったのですが、マケイン氏は、結局今までの政治家と大差ない、という印象を与えてしまったように思います。彼には、そうではないと主張できるだけの材料がそれなりにあったのに、です。その点、オバマ氏は当初問題とされた彼の経験の少なさも、新風を起こす上ではかえってよい、というふうに解釈されるという幸運を経験しました。

オバマ氏が、政敵からの攻撃に対して、積極的に攻撃的に対処しないことに対する批判が当初はありました。しかし、今振り返ってみると、変に熱くなったりせず、一貫して冷静さを失わなかったことが結局正解だったように思えます。今は、危機的状況でも冷静に対処できる、というふうに、肯定的に見られていると思います。その点、感情的になりがちなマケイン氏とやはり好対照です。

ちなみに、「まけいんし」をIMEで変換しようとすると、「負け因子」になるんですね。皮肉です。

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