リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記

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zoom RSS 講師のリクルーティング その1

<<   作成日時 : 2008/12/04 09:42   >>

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リンガ・エスプレッソのヤスロウです。

最近新しい生徒さんに教えていただいたのですが、カフェでの英会話レッスンが流行っているそうですね。Asahi.comのような日本のニュース・ウェブサイトや、Mixi.jpのようなSNSウェブサイトには目を通していますが、それでも実際に日本に住んでいないと、流行りすたりを肌で感じることができません。日本のTV番組は全く見ないこともその理由の一つかもしれません。いずれにせよ、こうやって教えていただけるのはありがたいです。

興味が湧いたので、このカフェでの英会話レッスンのはしりとされている(らしい)某社のウェブサイトをいろいろと覗かせて頂きました。今まで意図的に曖昧に書きましたが、この会社そのものがレッスンを提供をしているのではありません。この会社自身の講師はおらず、生徒さんに外部契約講師を紹介する仲介サービスで収益を得るというビジネスモデルです。生徒さんが講師に都度支払うレッスン料は会社には全く渡らないので、月毎の維持費(会費)以外に、初期費用がかなり高額に設定されています。会社側から見ると、一旦初期費用を取ってしまうと、後はいいサービスを提供しようとする積極的動機がないようなシステムになっているため、案の定、「入会したのにいつまでも講師を紹介してもらえない。しかもその待っている間も会費は取られ続ける。」、という類の不満が各種のウェブサイトに見られます。

ただし、同社の場合、紹介した契約講師が生徒さんに課するレッスン費を一律に制約しており、これが比較的安価であることが、大きなセールス・ポイントとなっています。また、講師希望者は誰でも登録するというわけではなく、厳しい基準で選んでいるばかりか、トレーニングも施している、としています。

しかし、後で述べるように採用基準そのものに疑問がある上に、講師紹介待ちの会員のバックログがある状態では、講師の数を増やすことが優先されますから、これらの要因で講師の質にムラが出るのは自然な結果でしょう。優れた講師にたまたま巡り合って、非常にお得な結果になる可能性がある反面、そうならず、高額のお金をどぶに捨てたようなものだ、と後悔する可能性もある、ということです。


以前から我々の講師のリクルーティングについて書こうと思っていたのですが、ちょうどいい機会ですので、この某社のやり方と比較しながらお話したいと思います。この某社のやり方については、「こだわりの講師採用」というタイトルのページで詳しく説明してくれていますので、是非皆さんも検索して探してみてください。


まず、どうも不採用率の高さがおおごとかのように書かれていますので、我々の場合はどうかというと、95%以上が不採用です。一度募集広告を出すたび、100通をゆうに越える応募がありますが、そのうち採用に至るのは多いときですら 2, 3 名のみですので、採用率は数パーセントにすら満ちません。


「基本的な採用基準」に挙げられている項目のうち、「ネィティブ・スピーカであること」はいいとして、「日本での教務経験が6ヶ月以上あること」というようなことは、我々は全く関知しません

まず、我々は日本との関連(日本人、日本語、日本文化、日本国)を要件として全く求めてはいません。代わりに我々が求めているのは、多様な価値観や文化に対するセンシティビティーです:他の文化や民族に対して敬意を払えること。自分たちと違うからといってそれが「正しくない」などと決めつけるような短絡思考をしないこと。言い換えると、「アメリカが世界の中心」などと思っていないこと。外国で長期(年単位)、現地人と交わりながら生活をした人はこういうものの考えを身につけることが多いので、それは要件ではありませんが、積極的に評価します。軍基地に住んでいた場合はこれに相当するとみなしません。こういった文化的センシティビティーがあれば、日本文化に関して全く無知であっても我々は頓着しません。日本人に英語を教える上で知っておくべき、母語の日本語の影響や、日本文化の人間関係に対する影響などは、採用後のトレーニングでサポートしています。

中には、日本語をある程度知っていることで、当然自分は選ばれるものという態度で応募してくる人がいます。外国語をマスターしたのであれば、それは後で述べるように高く評価します。しかし、それは日本語である必要はありません。私はむしろ、変に日本語を知っているがために、講師がレッスン中日本語を使いたがる方を懸念します。生徒さんは自分の英語力を高めたいお金を払って我々のサービスを利用されているわけですから、その時間が講師が日本語を使うのに使われてしまっては、生徒さんは納得なさらないでしょう。もちろん、日本語の知識があるから、という理由だけでマイナスに評価することはないのですが、必ずしもプラスだとは見なされない、ということです。JETプログラムのALTの問題点についてはかつて記事を書いたことがありますが、ここに挙げたような理由で、JET経験者であっても特に優遇することはありません。

さて、「日本での教務経験が6ヶ月以上あること」、という某社の採用基準に話を戻すと、英語教授経験を単に期間だけで評価するのは全くナンセンスだと私は思っています。特に日本国内では、馬鹿馬鹿しいネイティブ・スピーカ盲信が蔓延しており、ネイティブ・スピーカであれば、特にえり好みしない限り、教える機会は嫌でもふんだんに与えられるでしょう。そんなことを仮に6ヶ月やったからといって、何の意味があるというのでしょう?

ちなみに、アメリカ国内では通常人事に関して、教育と同じくらい経験を評価します。英語を外国語として教える職についても、コミュニティー・カレッジの先生程度であれば、特にそれ専門の教育を受けていなくても、経験を積んでいれば採用される可能性があります。これはアメリカでは現実に行われていることです。しかし、私はこういうやり方に非常に懐疑的です。例えば、英語学校で与えられたテキストを用いて教えて行く過程で学ぶこともあるでしょう。しかし、それはきちんと教授法を学ぶことには決して匹敵しないと思うからです。

この考えを突き詰めると、TESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages) の専門教育を受けた人が望ましい、ということになります。これは正にその通りなのですが、現実的問題があります。TESOLの本格的教育を受けたといえるのはその修士号以上を持っている場合ですが、こういった人は残念ながらペイの関係から我々のところで働いてもらえません。我々の側では雇いたいと希望しているのに先方に断られてしまう唯一のケースがこれです。

TESOL関係の資格でこれの下に来るのが TESOL certificate (免状)です。現在のリンガ・エスプレッソの講師全員がこれを持っています。ただ、"TESOL certificate" と一口に言っても、それを授与する機関によって、内容や訓練期間がまちまちですので、これを所持しているからといって、リンガ・エスプレッソの講師になれるだけの十分な資質があるとは判断しません。

TESOLの修士号以上がある場合は別ですが、それ以外の場合は、TESOL関連のバックグランドを云々するよりも、私は本人が外国語をマスターした経験があるかどうかをむしろ重視しています。そういう経験があれば、まず、自分の生徒が外国語として英語に取り組む上で苦しむのを見たとき、ずっと同情的になるでしょう。その苦しみが自分の経験上理解できるからです。英語が母国語だからという理由だけで先生扱いされた結果、傲慢になる人がいますが、これも避けられるでしょう。さらに、外国人が英語を学ぶ上でどういう点が支障になるか、そしてそれをどう乗り越えて行けられるかについて勘が働くでしょう。私は中途半端なTESOLの訓練より、自分自身の外国語習得経験の方が、こういった点でずっと価値があると思っています。外国でも母国語の英語で用が済んでしまうことが多いために、アメリカ人は日本人に比べて、外国語に真摯に取り組むことが珍しいのですが、それでもあえてそれをやった人は、言語に対する神経がずっと細やかなのです。

上で外国語を「マスターした」という大げさな表現をしたのは意図的で、ちょっと定型の挨拶言葉を知っている程度ではだめだということです。曲がりなりにも意味の通る文章を自力で生成できることがこれの要件です。日本人の英検に置き換えると2級程度でしょうか。でも、アメリカ人で外国語でそのレベルに達している人はなかなかいません。


さて、「こだわりの講師採用」の基準に含まれてなくて驚いたのが最高学歴です。我々は学士号以上を要求しており、今の講師の中には博士号 (Ph. D.) を持つもの、修士号を持つものもいます。どう考えても、学士号は必須でしょう。当たり前すぎてわざわざ書いてない、ということなのでしょうか?こんな基本的資格を要求しない採用基準のどこが「こだわり」なのか疑問に思わずにおられません。


まだまだ言いたいことはあるので、いずれ続編を書きたいと思います。お楽しみに。


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