『大岩のいちばんはじめの英文法 超基礎文法編』の誤り

リンガ・エスプレッソのヤスロウです。

大岩秀樹氏著の「大岩のいちばんはじめの英文法 超基礎文法編」を,中学英文法を基礎の基礎から復習したい方にはお勧めしています。これはさる生徒さんにお勧めいただいたものです。本当は「くもんの中学英文法―中学1~3年 基礎から受験まで (スーパーステップ)」(新版が出ているようですね)ぐらいがよいとは思うのですが(これも同じ生徒さんに勧めていただきました),それがまだ難しい場合などにはまずは「大岩の~」で始めるのは悪くないと思います。

実は本書には,正直「ちょっと待て」と言いたくなる記述が多く見受けられます。しかし,これはある程度いたしかたのないことです。英文法という本質的に込み入った話を初学者にもわかるように,しかも狭い紙面で簡潔に説明する,というのが本書の目的です。なので,いかにバランスを保ちつつ、内容を取捨選択し、必要なら単純化するかがこの本を執筆する上でのキーだったはずです。そのため正確さの面で譲歩せざるをえなくなるところがあったとしても,それは十分理解できます。

ただ,それを踏まえても看過できない問題が1点あります。本記事ではそれをご説明します。

p. 91で

Glenn bought the wallet for two thousand yen.

の下線部を問う(つまりいくら支払ったかを問う)質問として,

How much did Glenn buy the wallet?

としていますが,これは正しくありません。どうしてもこの構文を維持して質問を生成するなら

How much did Glenn buy the wallet for?

としなくてはなりません。"How much"は程度を表す副詞句として扱われる場合と,量を表す名詞句として扱われる場合のどちらもありますが,この場合後者の扱いになります(なので正確には"how much"が置き換えているのは"for two thousand yen"ではなく("for"を含まない)"two thousand yen"です。なので疑問文に変換した際,"for"が残るのです)。この本の著者は前者しか念頭にないようなのでそれでこのような誤りが生まれたのでしょう。

"How much"が副詞句として扱われる場合も当然あり,

I love her very much.

の下線部を問う質問として以下は成立します。

How much do you love her?

ただし,では"How much did Glenn buy the wallet for?"ならいいのかというと,アメリカ人の友人は「ありはありなんだが気持ち悪い」と言います。同じことを問いたいのなら以下の文を使うことを勧めています。

  • How much did Glenn pay for the wallet?
  • How much was Glenn's wallet?
  • How much did Glenn's wallet cost?"

私自身自然に思いつくのはこの1文目です。ただ,なぜ"How much did Glenn buy the wallet for?"が「なんか違う」という感じになるかについては,彼とも話し合ったのですが明確な結論が出せませんでした。私の仮説は,このような質問をする際,Glennを主語とした動詞を使うのなら"pay" を使うことが圧倒的に多いので,それ以外を使うとそれだけで不自然に感じる,ということです。


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