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zoom RSS 『老眼』

<<   作成日時 : 2009/01/11 10:46   >>

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リンガ・エスプレッソのヤスロウです。

公開イベント「日本人男性がアメリカ人女性と仲良くなるには」は、無事成功裡に終了しました。当日イベントに参加してくださった方はもちろん、それ以前に告知に協力してくださった方々も、どうもありがとうございました!


唐突ですが、私は今年44歳になります。そんな私に、最近「老眼」の症状がそろそろ出てきました。決して認めたくないのですが。これを英語ではどのように言うのでしょうか?

実は、これは非常に面白いトピックなのです。というのは、日本語の表現方法と、英語(といっても私はアメリカ英語しか詳しくありませんが)の表現方法が顕著に違う典型例だからです。

人間が年を取って、近くのものに目の焦点を合わせるのに苦労する、ないしはできなくなった状態を、我々は「老眼」と呼びます。日本語では我々はそういうふうに名詞で表現するので、英語で表現するときも、それに相当する名詞で表現するものと、無意識のうちに仮定してしまいます

もちろん、日本語の「老眼」に相当する英語の名詞はあり、それを使えば同様に表現できます。しかし、それが一般的になされている表現方法かというとそういう保証はありません。実際この場合そうではありません。presbyopia は専門用語であり、必ずしも一般には知られていません。


では、どういうふうに表現するのが普通かというと(以下「老眼気味」に相当する表現です)、例えば:

  • "I might need reading glasses." (「老眼鏡が必要かも。」)
  • "I have trouble focusing on things closeup." (「近くのものに目の焦点がうまく合わない。」)

というふうな形を取ります。他のアングルからの表現方法はいろいろ考えられますが、インフォーマルなコンテキストで、もっとも自然な表現方法、というと、上のような形になります。つまり、症状名ではなく、症状を説明することで意味を伝えるわけです。

ここで"reading glasses"とは「老眼鏡」のことです。それまで眼鏡をかけてなかった人が、老眼の症状がでてきて、本を読むときのように近くのものを見る必要があるときにかける眼鏡ですので、こう呼びます。「二重焦点眼鏡」であれば、"bifocals"、となります。"bi-"「二重の」+"focal" 「焦点の」、という語根からなっているのはすぐおわかりいただけるでしょう。


このことは、日本語で通常名詞を使って表現することを英語で表現しようとして、詰まってしまったら、どうしたらいいか、ということについてヒントを与えてくれます。

例えば、「私は胃潰瘍です」と言いたいとします。「胃潰瘍」は "stomach ulcer" ですので、"I have stomach ulcer." と言えれば目的は達成されます。しかし、この表現を知れなかったとしましょう。このとき、"I have pain in the stomach." と言えれば、少なくとも胃潰瘍が聞く人の念頭に上るでしょう。そう表現すると、必ずしも胃潰瘍とは限らない、という意味で不正確ですが、現実にはそれだけでも伝わることが重要だという局面は多いと思われます。

あるいは、「彼は盗人だ」と言いたといとき、"thief" (盗人)といった名詞をど忘れしてしまったとします。しかし、"He steals stuff from other people." と言えれば、意図は完全に伝わります。


さて、目の話に戻ると、上に述べたように、英語では「老眼」は通常名詞を使って表現しないわけですが、「近視」、「遠視」については、near-sightedness (あるいは short-sightedness)、far-sightedness という名詞が普通に使われます。「乱視」は、-sightedness という形にはならず、astigmatismという語になります。


さて、アメリカでは眼鏡屋にいて、視力検査をしてくれる人をoptometristと言います。通常の眼科医はophthalmologistです。その大きな違いは、後者が手術するのに対し、前者はしないことです(詳しくはこちら)。Optometristでも4年間の専門的教育を受けており、ここは日本の眼鏡屋の状況と大きく違うところではないかと思われます。

ちなみに、ophthalmologistは発音がややこしくAudio Icon(しかもこれは可能な発音のひとつに過ぎません)、我々には難しい語です。しかし、ご安心下さい、簡単に"eye doctor"とも言えます。同様に歯医者は"tooth (teeth) doctor"…かというと、残念ながらそうではなく(意図は伝わりますが), ご存知"dentist"ですね。


Mixiにあったさるスレッドに投稿した内容に、加筆したものです。

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コメント(6件)

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初めまして,mixiからうかがいました.

私もよく,
日本語では便利な名詞的表現を英語でなんて言うんだろう?
と多々思ったことがあります.
結局は言えなくて,違う単語やらぐだぐだ説明しています.
その例として,
『知り合い』(友達というにはそんなに仲良くなくて,でも知っている人,と言いたい場合)
『先輩,同期,後輩』

日本語って繊細な表現が沢山あるなっていつも実感します.
さらに,いろんなニュアンスを含んだ言葉になっている,とも.

突然失礼しました.
emilly
2009/01/13 12:18
Emilyさん、コメントありがとうございます。

「知り合い」は"acquaintance"でよろしいかと。「先輩,同期,後輩」は確かに難しいですね。"senior/junior"で済むこともありますが、そもそも入学/入会/入社時期で区切るという概念が余りないので、ちゃんとわかってもらおうとするとこれは確かに長々説明しなくてはならないでしょうね。

> 日本語って繊細な表現が沢山ある
> なっていつも実感します.
> さらに,いろんなニュアンスを含んだ
> 言葉になっている,とも.

これは単に、Emilyさんが日本語を母国語とされているからではないでしょうか?私の場合、母国語である日本語を除くと、一番よく知っているのが英語になりますが、この英語に関しても、それがEmilyさんのおっしゃっているような言語ではない、と言い切れるほど分かっているとは自分では思
っていません。
ヤスロウ
2009/01/13 13:45
なるほど、私も専門用語に詳しいわけではないのでやはり症状を説明することが多いですね。
たまにふと思うことなんですけれど、「氷を食べてみぞおちがキーンとなる」の「キーン」をどう英語で伝えたらいいのかと。。 
れいこ
2009/01/13 14:25
れいこさん:

今リナに聞いてみました。日本語の「キーーン」に相当する擬態語はないけれど、そういった頭痛を"ice headache"、"brain freeze"と言う、と言ってます。
ヤスロウ
2009/01/13 14:57
あー、なるほど、brain freeze!でしたか!
擬態語で表現するのに慣れてるとそれに相当する言葉を捜すのが難しいし、言葉だけだといまいち伝わってない(物足りない)気がするのは私だけでしょうか。
れいこ
2009/01/15 15:02
おっしゃっていることよくわかりますよ。英語では*普通*擬態語を使わない、というだけですので、擬態語を使ってはいけないわけではないのです。ですので、もし自分がそうしたければ、擬態語を作り上げて使えばよいのだと思います。それは個々人のcreativityの領域だと私は思っています。
ヤスロウ
2009/01/15 15:20

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