リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記

アクセスカウンタ

zoom RSS スマホ・タブレット時代の電子辞書

<<   作成日時 : 2015/02/03 04:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

リンガ・エスプレッソのヤスロウです。これがブログ再開後初めての本格的記事となります。

これは、生徒さんのお一人に質問されたことについてです。それは、今どきの、スマホ/タブレット/PCを併用する環境で、どのような電子辞書を使ったらよいか、という問いでした。この問いには、「どの辞書を使えばいいか」という問いと、「(技術的観点から)どのような形態で使えばいいか」という問いが含まれていると思いますが、とりあえずこの記事では後者を中心に考えてみます。

結論から言うと、インターネットが常時利用できる、という前提に立てるのなら、今は内容の充実したWebベースのオンライン辞書が無料で利用できますので、これで用が足りるかもしれません。例えば、コトバンクgoo辞書は小学館のプログレッシブ英和辞典、プログレッシブ和英辞典を含んでいますし、Weblio辞書は研究社の新英和中辞典、新和英中辞典を含んでいます。英英辞書についてはウィキペディアの「電子辞書」のページの「オンライン型」の項にいくつかあげられています。これらはWebブラウザさえ使えれば、スマホ/タブレット/PCを問わず利用できます。もし、あなたの辞書ニーズがこれで満たされるのであれば、以下を読む必要はありません。

そのような形で利用できない辞書を利用したい場合、あるいはプログレッシブ英和・和英辞典、新英和・和英中辞典でも、オフラインでも、すなわちインターネットが利用できない環境でも利用できる必要がある場合、は以下の話がひょっとするとご参考になるかもしれません。

以前---スマホやタブレットが今のように普及するより前の話です---には、一つの有効な方法があったのです。電子辞書は、当時はWeb上ではほとんど提供されておらず、主にCD-ROMの形で提供され、それをPC(Macや、Linux boxも含めます)にインストールしたアプリケーションソフトウェアでアクセスする、というのが定番でした。

そのCD-ROMにはEPWINGと呼ばれるデータ格納方式の標準規格がありました。この規格は(正確にはそのサブセットは)JIS規格になっており、誰でも利用できたことが普及に貢献しました。この規格が存在し、それに準拠した電子辞書データが多く販売されていたので、辞書データと辞書ビューワを切り離して扱うことができました。PCだろうがMacだろうが、そのプラットフォーム上で動作するEPWING対応の辞書ビューワ・アプリケーション・ソフトを用意できさえすれば、(ライセンス的に問題なければ)EPWING形式の辞書データを使い回すことができたのです。大雑把な例えだと、WebページがHTMLという標準に準拠している限り、Windows PCだろうがMacだろうがiPhoneだろうがiPadだろうがAndroid端末・タブレットだろうが、HTMLを解釈し表示する機能を持つWebブラウザ(ChromeだろうがFirefoxだろうがSafariだろうが)ならアクセスし表示できるわけですが、それと状況が似通っていました。

EPWING辞書ビューワーには、複数の辞書を横断的に検索する「串刺し検索」機能があることが多く、これが更に利便性を高めていました。

EPWINGについてより詳しくは"無料であらゆる辞書がダウンロードできる - 「EPWING」とは? - NAVER まとめ"を御覧ください。この記事中にも説明があるように、CD-ROMの形で販売される辞書データだけでなく、インターネット上で無料で公開されている辞書データをダウンロードし使うこともできました。

さらに、以下の記事にあるように、本来EPWING形式では提供されない辞書データをEPWINGへの変換も可能な場合がありました(一般ユーザには敷居が高かったのは事実ですが)。

このようにEPWINGという標準規格を中心に電子辞書界はうまくまとまっていたと言えると思います。スマホやタブレットを多くの人が利用するようになった今でも、後でも触れるようにAndroid用やiOS用のEPWING辞書ビューワーアプリは存在しますから(有償かもしれませんが)、以前発売された古いEPWING準拠の辞書データでよいのであれば、ライセンスが許す限りお持ちのPC/Macやスマホやタブレットにデータをコピーし、PC用のEPWING辞書ビューワーアプリ、Mac用のEPWING辞書ビューワーアプリ、Android用のEPWING辞書ビューワーアプリ、iOS用のEPWING辞書ビューワーアプリ…を利用して使い回すことが可能です。使い回しができなければ、各プラットフォーム(Windows, Mac OS, Android, iOS...)ごとに辞書を購入する必要がありますから、出費がその分かさんでしまします。

ところが、です。そのEPWINGが規格として廃れてしまったようなのです。現在はEPWING規格の策定にあたっていたEPWINGコンソーシアムのウェブサイトであった http://www.epwing.or.jp/ は消滅してしまっています。Internet Archive Wayback Machineでみるとまともな内容があったのは2006年9月のスナップショットまでです。

EPWING準拠の電子辞書製品はどうでしょう。Amazon.co.jpで"EPWING"をキーワードに検索してみると、はっきりEPWING対応だとわかるのは2010年8月出版の"ビジネス技術実用英語大辞典V5 英和編&和英編 CD-ROM版: 海野 文男, 海野 和子"のようです。もう5年ほどEPWING準拠の電子辞書製品は発売されていない、ということになります。

さらにウィキペディアの"EPWING"のページにある後継規格の項を見ますと、その一つがONESWINGなのですが、"ロゴヴィスタ(Logovista) / ONESWING VS Epwing | 辞書の館(Epwingを中心に)"によると、ONESWINGはEPWINGとの互換性は全くないそうなのです。どうも富士通の独自規格のようでしかも規格は公開されておらず、辞書コンテンツのページを見ると既存のは全てiOSないしAndroid向けのみの模様ですInspirium 辞書検索ライブラリを使用するようで、それを利用して日本の携帯事業者のスマートフォンのプレインストール辞書アプリに採用されていることが分かります。Android用プレイストアでもOneswing形式の辞書アプリは富士通パーソナルズ製のものがずらりと並んでいます。しかしPCでの利用を想定したものはほとんど見当たりません。唯一の例外がKGC 株式会社計測技研の総合辞書が一点あるくらいです。

要は、EPWINGが何らかの理由で廃れたのはしょうがないとして、それに取って代わるようなオープンな規格が現れていないため、以前EPWINGによってもたらされたような利便性は得ることは難しくなってしまったようなのです。

これは一つには、モバイル・デバイスではアプリにデータもビューワもまとめてパッケージしてしまう方が、コンテンツ・プロバイダとしては、課金を含め細かにコントロールでき、扱いやすいことが関係しているのかもしれません。

使い回ししたいのであれば現状はあまりよくないように思えますが、唯一EPWINGに相当する役割りを担ってくれそうなのがロゴビスタ(LogoVista)辞書形式です。

EPWINGに対応しており、Mac, Windows PC, iOS(iPhone iPad) Androidそれぞれ用のアプリが存在する辞書ビューワーのEBシリーズというのが知られています。EPWINGだけでなく、各種電子辞書フォーマットに対応しており、例えばEBWin4であれば以下の形式に対応しています:
  • EPWING V1〜V6(V4/V6圧縮形式対応)(ST規格を除く)
  • 電子ブック(EB EBG , EBXA, EBXA-C , S-EBXA , S-EBXA圧縮形式)
  • LogoVista電子辞典(*)
  • PDIC 辞書(PDIC for Win32 , PDIC/Unicode)
ただし、「* - LogoVista電子辞典シリーズは辞書毎に独自の仕様となっているため、タイトルによっては正常に表示できない場合があります。」という注がつけられています。

EPWING準拠の電子辞書とは違い、ロゴビスタ社からは今も電子辞書が継続的に発売されています(かなり高価ですが…)。EBシリーズでロゴビスタ形式はサポートされていますが、完全でないとはっきり明記されているので、特定のロゴビスタ電子辞書がEBシリーズで扱えるかどうかは基本的にやってみないとわかりません。ただ、例えば"Amazon.co.jp: リーダーズ英和辞典 第3版: ロゴヴィスタ: ソフトウェア"のような場合だと、コメントでEBPocket(上記EBシリーズの一つであるiOS/Android用電子辞書ビューワー・アプリ)及びEBWin(同じくEBシリーズの一つであるWindows用電子辞書ビューワー・アプリ)で使用できることがレポートされているので、これらアプリで使えることがわかります。このような手段で購入以前にEBシリーズで扱うことができるかどうかわからなければ、EBPocket / EBWin サポート掲示板で尋ねるか地道に自分で調べるか、そして最後の手として実際に購入して試すしか手がありません。

話が長くなってしまいましたが、使い回しをしたいのであれば、EBシリーズを利用し、新しい辞書が必要ならロゴビスタのものを使うようにする(EBシリーズで扱えるとして)のが現時点で一番無難な方法のように思えます。特に私のように既にEPWING辞書データを所有している人の場合、この方法ではそれらも合わせて扱えますのでなおのことよいでしょう。

この方法の大きな問題はロゴビスタの辞書は高いということです。2015年3月31日(火)申し込み分まで有効な一部製品の半額セールをやっていますが、半額でもまだ高い、という始末。こうなるとプラットフォームごとに辞書アプリを購入するのと大差ないようにも思えます。ただ、業界全般がAndroid/iOSのアプリに注力するようになったようで、イーストのデ辞蔵シリーズでも、かつてあったPC版ビューワはもう入手できなくなっています。同じ辞書を複数プラットフォーム用に用意しなくてはならない理由もないので、プラットフォームごとに自由に選ぶというのも手かもしれません(例えばiOS用辞書アプリ)。コスト削減の工夫をしないのと同じですが、変にそういった工夫をしないほうが結果的に安くつくかもしれない、ということです。

すっきりしたお答えが出せず申し訳ありません。もう少しいろいろと調べてみたいと思っています。

重要な付記:いつかこの件について別に記事を書きたいとは思っていますが、学習用にアルクの英辞郎はふさわしくありません。あっけにとられるような記述がまま見られます。これは、中・上級者が、あくまで参考、という意識を持ちながら注意して使用するものです。記述を鵜呑みにするととんでもない間違いを犯しますから、くれぐれもそのようなことがないようにしてください。「収録語彙数が多いからいい」、という意見は、どれだけ収録語彙数が多くても、誤った、あるいは誤解を与える記載があるのであれば、害の方が大きい、という単純な事実を見逃しています。「変な記載を見たことがない」という人は、それを見分ける力がないだけなのです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
スマホ・タブレット時代の電子辞書 リンガ・エスプレッソ何でも係の奮闘記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる